【DeLoblog #037】 2019.4.5
ー播州織ストールの糸ー
こんにちは、今井です。
お散歩帆布バッグに次ぐ、デロリアンズの人気商品「播州織ストール」の糸についてのお話です。
ストールの新色で赤系の色を出すことに決まった後、赤系・えんじ色の糸が生産終了になってしまったため、ワインレッドは初回の7本、ローズピンクは次回入荷の10本で販売が終了となってしまいました。せっかく綺麗な色ができたのに少しだけの販売になってしまって申し訳ありません。
カーキやネイビーもそうでしたが、糸の生産が終わってしまうことはよくあることなのかと橋本さんに聞いてみたら業界の事情を教えてくださいました。
昨年2月、兵庫県の「橋本祐二織布」さんへ出張へ行った際にも、染糸工場への見学に連れて行ってもらったりしたり、橋本さんから糸の話を詳しくうかがったりしていたのですが、橋本さんからより詳しい糸の話をお客様に、とお手紙をいただいたのでご案内したいと思います。
=== 以下、お手紙全文 ===
<糸のお話し>
皆様、平素よりデロリアンズ播州織ストールを支持していただき有難うございます。
織物を創るうえで欠かせない素材が?糸?であります。いろんな生地や、生地製品の質感、触感、色の表現などクォリティーに直結するとても大切な要素です。
糸にもいろんな種類がありますが、デロリアンズストールに使用している糸の素材は綿です。播州織産地において「先染め」という要素が特徴の一つとしてあります。糸を先に染めてから織る先染め技法は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の交わり方によって複雑な色の表現を可能にしています。
綿を染める方法として
<1>糸を染める染色方法
<2>糸にする前の原綿(げんめん)で染める方法があります。
糸を先に染めてから織るという事は文字どおり原糸(げんし)を購入し、染色工場で色に染めてもらうので「1」になります。デロリアンズストールの経糸に使用しています。
生成りの糸
染めた糸 ピンク
デロリアンズストールの緯糸に使用している糸はトップ糸(とっぷし)と呼ばれている糸で「2」の糸になります。
「2」のトップ糸は色に染まった段階では糸になる前の綿なので、それから糸になる工程をへてトップ糸という糸になっていきます。糸にしていくときに違う色の綿(わた)同士を原料とする事で糸自体に複雑な色味を持たせる事ができるのが特徴です。
染め綿画像(イメージ)これは織る最中に出る綿埃です。
上画像の着色された綿を紡いで糸にするとトップ糸になる
経糸ピンクで織ると画像の織布になる
また、糸になったものに熱や圧をかけて染めていくのではなく、色に染まった綿を糸にするので、よりふんわりした風合いになります。
(糸を染める事は固くなるというイメージではありません。トップ糸がよりふんわりした風合いという事です。また、糸を染色する事で糸の強度が上がるデータもありそれは、色の薄い濃いでも違ってきたり繊細で複雑なため一般的な理解を求めるには説明しかねる部分になってしまいます)
トップ糸のふんわりした風合いの良さがいい特徴であるのに対し、毛羽が落ちやすいという特徴もあります。ですので、取り合わせる服によってはこの毛羽が目立つ可能性があります。
廃番、変更について
「1」にあたる糸については、染色工場に染め出しの依頼をかけるので糸がなくなるという事は起きにくいです。「2」の糸になると、メーカーさんが糸をつくり在庫をしておくことになります。出荷数の少ない糸は予告なく生産が打ち切られる事になります。
また、色も流行やその時に応じた色に予告なく変更されることもあります。その他にも、形状に特徴がある糸など糸素材にもたくさんの種類があり、素材も綿だけでなくいろんな種類があります。
こちらも、廃番や変更は企業の判断で行われ、また新しい品番が誕生していく事になります。よく製品のパッケージ表記にある「予告なく変更する場合があります」的な意味合いと思っています。
お客様との交流会で、ご意見を頂いた方には直後の廃番でご迷惑をおかけして申し訳ありません。
これからもお客様に喜んでいただけるように、頑張りますので宜しくお願い致します。
=== 手紙はここまで ===
橋本さんからの手紙にあるように、播州織ストールは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織られており、緯糸が同じ色でも経糸の違いで、ワインレッドとローズピンクくらいの違いが出るのです。面白いでしょう。そこが播州織の魅力の1つです。
ワインレッド
ローズピンク
(最初に書いた内容と重複しますが)現在販売しているワインレッドとローズピンクに使っている緯糸が廃盤となってしまったため、ローズピンクも次回入荷分の10本で販売が終了となります。
ローズピンクは綺麗な色なので販売は継続したいところではあるのですが、こう言った業界の事情があって販売終了となります。そのことをお伝えしたいと思いブログにてお知らせしました。
そして、ブライトイエローの経糸紺バージョン、「マスタード」も試作で作っています。
これは、大阪に出張へ行った穴澤が、ichimaruniさんの催事に出かけた際に経糸紺のからし色ストールを身につけていて、それを見た数名のお客様から「是非発売してほしい!」と強い要望があったため作ってみることにしました。定番になるか、数量限定となるのかはまだ検討中ですが。
これがそのマスタードです。
マスタードも深みのある綺麗な色でしょう。これ、穴澤の最近のお気に入りなんですよ。
なお、現在売り切れてしまっているその他の色もGW前には全色入荷の予定ですので、ご希望の方はもう少しお待ちくださいね。
それでは。