播州出張 ーその3ー
こんばんは、今井です。
工場に戻って見学再開。これが実際にストールを折る機械で、染糸工場で染めた糸をゆっくりと織り込んでいきます。
播州織は220年以上の歴史があるけれど、継承する人が減り、こうした昔ながらの機械を使っている人も少なくなっているそうです。この織り機は40年選手のとても古いものなので、部品を作っているところがなかったり、残っていなかったりで、日々磨きながら使用しているとのこと。残っていない部品もあるため、自分で直したり作ったりとそれもまた大変な作業ですよね。
機械右側に見える白いローラー部分に設計図があるのわかりますか?デロリアンズストールの柄はが複雑なものではなく一定の折り方を繰り返す為、前回のブログで紹介した長いものではなく、短い設計図になっています。
これが実際に織っているところです。機械が動いていると低速機とはいえ早いです。なので写真もブレブレ、ごめんなさい。
ちなみに、工場内を見渡すと綿埃がちらほら。これは汚れているから、ではなく、綿糸を使って織物を作っているので、織っているうちに糸の綿が舞ってしまうのだとか。その綿ぼこりはすぐにたまってしまい、橋本さんは織布にその綿が入り込むのが嫌でこまめに掃除をされているとのこと。だから、こうして生地に入り込まないようにチェックも欠かせません。
橋本さんがチェックしているこの織布が、今度発売する「DeLoreans播州織ストール」(ライトグレー)です。懇親会の意見を参考に私たちがオーダーしたのは、幅1メートル、長さ2メートルの大判ストールで、色はチャコールグレー、ネイビー、カーキ、ライトグレーの4色。
最初のサンプルでチャコールグレーを私(今井)、ネイビーを福田、カーキを長嶋が使っていて、ライトグレーは端切れしかなかったんです。当初、私たち女性スタッフはライトグレーを外した3色展開で良いんじゃないかと主張していたんですが、穴澤がライトグレーはどうしても欲しい!というので、大判サンプルを後で作ってみたところ、端切れを見たときと違う印象で、これも良いかも!となり、最終的にこの4色展開をすることになりました。
織ったばかりの布はこんな感じでピンと張っています。え?これがあのふんわりしたストール?と私の頭の中には「???」がいっぱい。
織り上がった部分を同時に裁断しているところ。
こうしてゆっくり一本一本、丁寧に作っているのを間近で見てみて、橋本さんの織物への愛情を感じました。さらに、裁断してからのひと手間にあのふんわりの秘密があったんです!
裁断した織布(ストール)を最終工程としてひとつひとつ丁寧にぬるま湯で手洗いし、糸についていた糊を落としているところ。(チャコールグレーに見えますが、これもさっき載せたライトグレーのストールです)
糸に糊を付けているのは機械で織るときに強度を増すため。低速とはいっても機械で織るときには糸に強い力がかかるためなんだそうです。ただし織った後はそんなに強い力がかかることはないので糊は落としても平気なんだとか。
まっすぐピンと張っていた織布も、こうして糸の糊を落とし少し熱を加えることで綿糸が収縮し独特のシワが現れるのです。
橋本さんの仕事は本来織るだけで良い仕事だけれど、織物は繊細で設計によって糸が変化して仕上がりが全然違ってくるそうです。だから、この糸でどういう設計で織ればどういう仕上がりになるのか、橋本さんは糸の特性も日々研究しているんですって。職人魂を感じますよね。
糸の特性を知っている橋本さんだから、ボリュームのあるストールを作るにはどうしたら良いか仮説を立てて何度も試作を繰り返して出来上がったものなのです。
あの大きな機械で織られたピンと張った布がこうした手作業により風合いが出てストールとなります。
(左から、チャコールグレー、ライトグレー、ネイビー、カーキです)
デロリアンズのタグがまたよく似合うと思いませんか?素敵なストールにこのロゴを付けたらさらに愛おしくなりました。
どうです?この風合い写真で伝わってますか?ピンと張った布からこの風合いは想像できませんよね。
もっと簡単な作業で出来上がるものだと思っていた私には驚きの工場見学となりました。いかがでしたでしょうか、播州出張レポートはお楽しみいただけましたでしょうか。現在商品ページを制作中なので、発売までもう少々お待ちくださいね。